池袋の西口にかまえる知る人ぞ知る喫茶店、入店するや否や静謐な佇まいからお店の歴史を感じさせられます。
珈琲好きの間では有名な「蔵」は、昔ながらの純喫茶という言葉がぴったりあてはまる古き良き昭和の香りを感じさせる貴重なお店です。入り口には「珈琲専科 究極の味」と掲げられており、珈琲に対する期待値を一気に跳ね上げます。
蔵に初来店した人は誰しも驚かれると思いますが、店内の各テーブルには大きなダッチコーヒー（水出し珈琲の器具）がそれぞれドンッと配置されていて、その異様な光景に思わず二度見してしまう事でしょう。各テーブルのダッチコーヒー器具からは、ポタポタと珈琲の抽出液が静かに滴っています。その光景はまるで「精神と時の部屋」とのたとえを聞いたことがありますが、まさしくそのようなイメージを抱かせます。
「蔵」の代名詞ともいえる喫茶メニューはやはり水出し珈琲。惜しみなくふんだんにコーヒー粉を使用し、こだわりのアルカリイオン水を一滴一滴ぽたぽたと垂らして１２時間。圧倒的な香りの情報量を閉じ込めた至極の一杯を堪能することが出来ます。その味わいはまさに珈琲ロマンといえるでしょう。
また「蔵」では、チーズケーキがコアな人気を集めています。まるでクリームチーズかのようにずっしりとしており、フォークをギュッと押し込まないと入っていかないくらいに密度が高いのです。しかし口の中で転がすと滑らかに溶け出していってしまうので、噛む必要はありません。ずっしりとしているのに重たくなく滑らかなこのチーズケーキは、ここでしか堪能できないと評判の逸品です。
